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  水文学の洋書

岡本 芳美 著
緑のダム、人工のダム

 B6版・320頁・定価 ¥1, 400  1995年4月1日発行



◎どうして森林は緑のダムと言えるのか、人工のダムは不要な
 のか、など、森林に関する 環境問題を情緒的でなく科学的
 に考えるための書。

◎環境問題、森林の問題に関心を持つすべての人を対象にして
 いるが、環境行政、土木などの専門家にとっても参考になる
 であろう。

◎随所に興味深い話題がもられており、森林の問題をどう考え
 たらよいか示唆を与える科学的読物。
 「近年、森が水を育んでいるという人が増えています。そして、
 森さえあれば人工のダム は必要がないと考えている人もい
 ます。しかし、本当に緑のダム=森があれば、人工のダムは、
 必要ないのでしょうか?」この著者の疑問から本書は始まり
 ます。これを解くために、通説になっている事の1つ1つをも
 証明して行くという四半世紀にわたる地道な研究に基づいた
 成果がまとめられています。それは、「水文学」を
 ”みずぶんがく”と読んでしまうような、土木に全く縁のな
 い方でも、理解できるような内容になっています。
   さて、あなたは、この問題について、どのように考えてい
 るのでしょうか?これからの 日本のダムの将来と自然=森
 の行く末を決める大いなる討論会の幕開けです。

目次

序章

第一章 山林地に降った雨はどの様にして川へ流れ出ているのか
一節 川と水系
二節 流域と源流
三節 流域の山地の部分、谷の部分、平野の部分
四節 山の原と山の波
五節 山は大福餅
六節 A層、B層、C層
七節 山林
八節 山林に降った雨水の動き
イ 樹冠層では
ロ 落葉層では
ハ A層では
ニ B層では
ホ C層では
ヘ D層では
九節 山林地は色々の層の重なり合いで出来ている
十節 以上で述べた考え方は定説になっているのか

第二章 悪魔の爪痕
一節 悪魔の爪痕発生の仕組み
イ はじめに
ロ 悪魔の爪痕はどの様にして起きるのか
ハ 悪魔の爪痕の発生を予測出来るか
ニ 警告
二節 長崎豪雨災害の悪魔の爪痕
イ 一時間雨量の日本記録の更新
ロ ミサイルと同じ

第三章 土石流
一節 相俣試験地で発生した土石流
イ はじめに
ロ 土石流発生の直前に人工的に大水の流れを起こす現地実験を行っていた
ハ 土石流の発生状況
二節 相俣試験地で起きた土石流の発生の仕組みについて

第四章 日本の国は気候大国
一節 世界の気候の分類
二節 ケッペンの気候分類は世界ではもう使われていない
三節 日本の国は気候大国
四節 日本の国の輸出競争力はどうして強いのか

第五章 日本の国では一年間にどの位雨が降っているか
一節 日本の平均年間降雨量のデータについて
二節 日本の国の平均年間降雨量は、本当はどの位なのか
三節 日本の国の一年間雨量のデータの空白域の解消は可能か
イ はじめに
ロ 雨量の計り方について
ハ 日本の国では一年間の雨量はどの様にして計られているか
ニ 日本の国の平均年間降雨量の値は永遠の謎
四節 本当に山の中の方が平地より沢山雨が降るのか

第六章 世界の森、日本の森
一節 ドイツの森
二節 マレーシアの森
三節 アマゾンの森
四節 日本の国は植物大国

第七章 緑のダム
一節 山に木が生えていないとどうなるか
イ 木の生えていない山
ロ 山林土壌が有ると無いとの違い
二節 山林が有ることによって起こる降雨の損失
イ 有効雨量と損失雨量
ロ 樹冠層では
ハ 木の下の空間では
ニ 落葉層では
ホ 土壌の樹根帯では
ヘ 芝山と普通の山ではどちらが降雨の損失量が多いか
ト 山林で生ずる年間の降雨の損失量
三節 山の木を切ると川の流れの量は増えるか
イ 山で切った木をどんな方法で運び出すか
ロ 切った木をそっくり全部ヘリコプターで運び出したら
ハ 林道
ニ 山の木を切ると川の流れの量は
四節 森林の保水作用
イ 森林の保水作用とは、森林そのものに保水作用があるのか
ロ ぶなの山林は保水力が優れていると言われるのは何故か
五節 森林は山地が高い保水力を持つための必要条件

第八章 人工のダム
一節 ダムを造る目的
二節 ダムの種類
三節 日本のダムと世界のダム
四節 パナマ運河はダム
五節 ダムの設計について
六節 ダムの計画に関連する事

第九章 人工のダムは不要か
一節 森林の効用は計算済み
二節 山の木を切ったなら、山の地肌の手入れはどうしても必要
三節 人工のダムを造る事はどうしても必要
イ 日本の国は洪水の国
ロ 後から川の水を利用しようとする人はどうしてもダムを造ら
なけけばならない
四節 日本の国では今では水は余っているのか

第十章 日本の国の焼き畑農業
一節 日本の国の焼き畑農業
イ はじめに
ロ 日本の国の焼き畑農業の基本類型
二節 古くから行われて来た焼き畑農業
三節 古くからの焼き畑農業の成立について
四節 日本の国の焼き畑農業が教えてくれる事

おわりに
質問一 天然林と人工林、広葉樹と針葉樹、樹種の間で緑のダムとしての森林の効用に差があるのか
質問二 「日本の国においては森林の効用は計算済み」と論じている。
それでは、この効用を誰が維持、管理すべきと著者は考えているか
質問三 日本の国では平均して六百ミリもの蒸発散が起こっているのであれば、
緑のダムのために川の流れの総量が著しく減ってしまっているのではないだろうか

使用した図・表・写真等の出所