著者 淺井 達雄
情報セキュリテイと企業活動
─ 実践と理論 ─


亀田ブックサービス 2007年9月28日発行
A5判 248頁 定価2,800円  ISBN 978-4-906364-58-9
 


関連情報

巻 頭 言

 著者は、1971 年に日本アイ・ビー・エムに入社し、情報通信サービス事業部門でキャリアを積み、1988 年春から2 年3 ヶ月、米国IBM 情報通信本社のあったフロリダ州タンパ市に駐在し日米間の国際情報通信サービス事業の開発に携わった。1990 年夏に帰国してからはIBM のアジア太平洋地域統括会社であるIBM アジア・パシフィックにおいて、やはり国際情報通信サービス事業の開発に携わった。その後、日本アイ・ビー・エムに戻り、日本国内の地域付加価値情報通信網サービス事業に必要とされるソフトウェアの開発責任者を務めた。こうした経験から、情報セキュリティ管理については、IBM 入社当初から基本に接し、かつ、実務においてもことのほか深く関与してきた。

 1992 年春に松下電器に移ってからは、本社機構のひとつである情報企画部において、海外を含めた松下電器の情報システム戦略の策定に携わったが、特に1999 年ころからは、情報システム部門に籍を置きながらも、松下電器全体への情報セキュリティ管理の導入を目指して社内主要関連部門を糾合して情報セキュリティ推進事務局を組織し、2002 年春に退職するまで3 年間これを主導した。その後も、松下電器のIT ・情報セキュリティ担当顧問として4 年間にわたり必要に応じて松下電器の情報セキュリティ管理の推進に関わった。

 2002 年夏、長岡技術科学大学教授として大学に着任してからは、大学院修士課程において全国に先駆けて情報セキュリティ管理論を開講するとともに、博士後期課程において情報セキュリティ管理特論を講義している。また、経済産業省が2003 年1 月に発表した「営業秘密管理指針」の策定に関与するとともに、その標準化の検討に関して、営業秘密管理指針及び技術流出防止指針の標準化検討委員会委員や大学等における秘密管理指針検討委員会委員を務め、2004 年4 月経済産業省発表の、大学における営業秘密管理指針作成のためのガイドラインの策定に寄与している。

 情報セキュリティ管理に関する著書は世に多く出版されている。著者の多くは、コンピュータ・メーカーやベンダーのコンサルタントであったり、あるいはこの分野を専門とする弁護士などの法律家であったり、理論的側面を研究する学者であったり、監査を請け負う監査人であったり、認証に携わる審査員であったり、時にはジャーナリストであったりする。このような著者に共通する点は、情報セキュリティ管理の仕組みを企業などの組織において主体的に推進する立場ではなく、主体的推進者の活動を支援したりコメントしたりするいわば非主体者の立場にある人々である点である。

 本書の特徴は、一貫して主体者としての立場から著されている点にある。著者は、先に述べたとおり、企業において実際に情報セキュリティ管理体制を構築し、それを数十万人からなる企業内に徹底するという実務を主導し、その後、学界において理論的体系化を図るとともに、実践と理論とに基づいた知見を国の政策に反映するという活動を行なってきている。本書は、一人でこのような複数の体験をした人間が記述しているという点にも特徴がある。本書は、産業界において多忙な毎日を送る人々に直ちに役立つよう、できる限り具体的に簡潔に記述した。

 本書が、これから情報セキュリティ管理体制の構築に取り組もうとする実務者や大学において情報社会の現実に関心を抱きながら情報セキュリティ管理の実際について幅広く学ぼうとする学生たちの役に立てば幸いである。

2007 年9 月
淺井達雄

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