関連情報

Larry Hirschhornの本

Melanie Kleinの本

著 者 ラリー・ハーシュホーン
監訳者 渡辺直登/伊藤知子/今井裕紀

職場の精神分析


亀田ブックサービス 2013年12月10日 第1版第1刷発行
A5版 290頁 定価 4,938円(本体4,572円+税)
ISBN 978-4-906364-60-2


  本書は、著者がコンサルタントとして実際に経験したことをもとに書かれている。コンサルティング先との守秘義務契約のため、具体的な組織名や人物名は変更されているが、本書で取り上げられた組織や個人は、実在する法律事務所や銀行、州の福祉事務所や環境関係の部署、通信会社など、またそこで働く人たちである。対象となった組織の業種はさまざまであるが、共通する大きなテーマの一つとしては変化する環境に適応するために何らかの変革を求められている組織の成員がどのように現実を受け止め、そして新しい形態の組織へと変革していくかということである。

 ポスト産業化という言葉が本書では繰り返し用いられる。これは社会状況の変化や情報技術の進展などによりこれまで確立されていた職場環境における役割秩序や境界が曖昧になるという意味であり、境界があいまいになった職場環境で増加する不安に対抗するために人はどのような心理的な防衛機制を生み出し、しばしばそれが職場における非合理な行動や状況を出現させることになるということが本書では探求されている。

 本書が著された80年代後半に比べ、情報技術が飛躍的に発展しグローバル化が進展した現在においては、仕事における境界はますます曖昧になり、仕事の構造は高度な統合を求められている。その意味で、本書は四半世紀前に書かれたものであるが、このテーマの重要性は未だ色あせていないと言える。否、情報技術が進歩し、グローバル化が進んだ現代にあっては、本書はいわば古典としての意義を持つ著作であると言えよう。
「あとがき」より


                目  次

     日本語版への序文
     謝 辞

  序 章 職場の精神力動

     第1部 社会的防衛

  第1章 職場における常態的心理的障害
  第2章 境 界
  第3章 役割の精神力動
  第4章 社会的防衛

     第2部 社会的防衛:二つの事例

  第5章 現代の組織ときょうだい集団:隠れた一体化の研究
  第6章 社会的防衛としてのマネジメント・トレーニング

     第3部 社会的防衛の崩壊とポスト産業化の環境
  第7章 ポスト産業化の環境
  第8章 官僚制組織の文化とその限界:社会的防衛の挫折
  第9章 オープン・システムと増大する不合理性

     第4部 社会的防衛を超えて

  第10章 仕事と償い
  第11章 “償い”をする組織
  第12章 発達を促す文化へのステップ
  付 録:研究方法としてのコンサルティング

  注 記
  あとがき
  索 引